遺産分割2006年05月10日 12:25

今日は遺産分割について 最高裁判所第1小法廷判決/平成16年(受)第1222号【判決日付】平成17年9月8日は、これまでの遺産分割の対象となっている不動産の賃料債権について、遺産分割の対象にならないことを明示した。  以下引用  「遺産は,相続人が数人あるときは,相続開始から遺産分割までの間,共同相続人の共有に属するものであるから,この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は,遺産とは別個の財産というべきであって,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である。  遺産分割は,相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるものであるが,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得した上記賃料債権の帰属は,後にされた遺産分割の影響を受けないものというべきである。  したがって,相続開始から本件遺産分割決定が確定するまでの間に本件各不動産から生じた賃料債権は,被上告人及び上告人らがその相続分に応じて分割単独債権として取得したものであり,本件口座の残金は,これを前提として清算されるべきである。」

 弁護士が遺産分割の相談を受ける場合、賃料収入について、当該不動産を取得した相続人は遺産分割の成立によって相続開始時に遡って確定的に所有権を取得するので、相続開始から遺産分割までの間の賃料収入を他の相続人に分配する必要はないと説明することがままあった(この判例の原審は同様の理屈で不動産を取得した者にすべて帰属させた)が、この判例により、賃料収入は他の相続人も相続分に応じて取得する権利があることになり、こと賃料収入が大きい場合に、従前の説明では問題となる。  気をつけなければならない。